就労継続支援B型の「工賃」の考え方では、就労継続支援B型事業所の工賃について説明いたしました。
内容をまとめると以下のとおりです。
・就労継続支援B型事業所では、労働の対価として工賃が支払われる
・工賃の設定は事業所によって様々である
・A型事業所と比べるとB型事業所の工賃は低額である
・B型事業所では、利用者の体調やスキルに応じて柔軟に働くことができるメリットがある
そこで、今回は就労継続支援事業所(A型、B型)の賃金・工賃の過去十数年の推移や、都道府県ごとの違いについてごとの違いを確認します。
就労継続支援A型事業所の平均賃金の特徴
まず、就労継続支援A型事業所の平均賃金の推移をみてみましょう。
就労継続支援A型事業所の平均工賃は、過去十数年の間に減少しており、平成18年は113,077円、平成30年は76,887円となっています。
しかし、右肩下がりに減少し続けているというわけではなく、平成18年から減少し始め、平成26年に最低の66,412円を記録した後は、増加傾向となっています。
就労継続支援事業の制度は、事業所の運営実態を踏まえて定期的に見直しが行われています。
平成26年以降増加している原因は、そのような取り組みなどによるものと考えられます。
平成26年頃までの就労継続支援A型事業所では、利用者による事業所の利用時間が短い「短時間利用」の問題が指摘されていました。短時間利用では、利用者の就労時間が短くなるため、それに伴って賃金も減少します。
その後の見直しにより、労働時間が長いほど利用者の賃金増加につながることや、支援コストがかかると考えられるため、労働時間が長い利用実績に対して高い報酬設定とする改定などが進められました。ただし、やむを得ない理由により短時間利用している者妨げにならないような制度設計とされています。
なお、平均賃金は都道府県によって大きな差があります。
平成30年の結果では、最も平均賃金が高かったのは、東京都で94,429円、続いて和歌山県で93,415円、最も低かったのは、宮崎県で62,776円、続いて青森県で63,777円となっており数万円の差が発生しています。
就労継続支援B型事業所の平均工賃の特徴
一方、就労継続支援B型事業所の平均工賃は近年右肩上がりで上昇しており、平成18年は12,222円であった全国の平均工賃は、平成30年は16,118円となっています。
就労継続支援B型事業所においても、平均工賃は都道府県によって大きな差があります。
平成30年の結果では、最も平均工賃が高かったのは、徳島県で22,235円、続いて福井県で21,829円、最も低かったのは、山形県で11,651円、続いて大阪府で12,009円となっており、最も高いところと低いところで工賃が倍近く異なる状況となっています。
まとめ
就労継続支援A型事業所の平均賃金は、過去減少が進んでいましたが、ここ数年は増加傾向となっています。
一方、就労継続支援B型事業所の平均工賃、一貫して増加傾向です。
A型事業所、B型事業所ともに賃金・工賃は都道府県によって大きな差があり、就労継続支援B型事業所では、最も高いところと低いところで工賃が倍近く異なる状況となっています。