「地域の障害者人口を推計するために活用できる統計調査情報の紹介」では、知的障害者、身体障害者、精神障害者の小地域ごとの人口を推計するための基本的な考え方と、推計に使用できる統計調査の紹介をいたしました。
今回は、推計するための具体的な手法について、概要を解説いたします。
知的障害者数の推計方法
知的障害者の人口推計は、厚生労働省が実施している「生活のしづらさなどに関する調査」を使用します。
この調査は、在宅の障害者等の生活実態とニーズを把握することを目的とした調査で、障害者手帳所持者数や障害者の基礎的な生活実態等の状況などについて調査されています。
この調査結果では、「療育手帳所持者数」として知的障害者の年齢別人口と、その男女比が示されています。
この結果から、総人口に対する年齢層別・男女別の知的障害者の比率を計算します。
そして、調べたい小地域(町丁字)の年齢層別・男女別人口(国勢調査から得られる)にこの比率を掛け合わせて、その地域の知的障害者人口を推計します。
身体障害者数の推計方法
身体障害者の人口推計も知的障害者と同様、「生活のしづらさなどに関する調査」を使用します。
「身体障害者手帳所持者数」として身体障害者の年齢別人口と、その男女比が示されています。
知的障害者と同じく、これを元に総人口に対する知的障害者の比率を計算して、得られた比率を国勢調査の結果と掛け合わせで、小地域ごと人口推計に利用します。
精神障害者数の推計方法
精神障害者は、同じく厚生労働省が実施している「患者調査」の結果を利用します。
この調査では、347区分の傷病区分別に総患者数や、外来者数、入退院者数等の都道府県別、年齢別、男女別の人数として統計結果が公開されています。
都道府県別の調査結果が公開されているので、調べたい都道府県における総人口に対する精神障害者比率を計算することができます。
「患者調査」結果のうち”V 精神及び行動の障害”から”知的障害(精神遅滞)”を除いた数に、”てんかん”と”アルツハイマー”の数を加えた患者数が精神障害者の人口と対応します。(このような考え方は厚生労働省の「障害者白書」(令和2年障害者白書 参考資料 障害者の状況 図表1の注1)で説明されています。)
得られた比率を国勢調査の結果と掛け合わせで、小地域ごと人口推計に利用します。
まとめ
・厚生労働省が調査している以下の調査結果と、国勢調査結果を合わせることで、地域の障害者人口を推計できる。
・知的障害者と身体障害者:「生活のしづらさなどに関する調査」
・精神障害者:「患者調査」