就労継続支援とは、障害者総合支援法により提供される福祉サービスの一つです。
サービスの法律的な位置づけや対象者などについて説明します。
障害者総合支援法とは
まず初めに、障害者総合支援法とはどのような法律なのでしょうか。
障害者総合支援法とは、正式名称を「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」といい、全ての国民が、障害の有無によって分け隔てられることなく、相互に人格と個性を尊重し合いながら共生する社会を実現するため、総合的かつ計画的に支援を行うことを基本理念としています。
また、支援は以下のことを旨として行うこととしています。
・全ての障害者及び障害児が可能な限りその身近な場所において必要な日常生活又は社会生活を営むための支援を受けられることにより社会参加の機会が確保されること
・どこで誰と生活するかについての選択の機会が確保され、地域社会において他の人々と共生することを妨げられないこと
・障害者及び障害児にとって日常生活又は社会生活を営む上で障壁となるような社会における事物、制度、慣行、観念その他一切のものの除去に資すること
出典:「障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律」(電子政府の総合窓口(e-Gov))
この法律の基本理念に基づいて、障がい者の生活支援のための様々な福祉サービスが定められています。
そして、福祉サービスは、「介護の支援を受けるサービス」や「訓練などの支援を受けるサービス」などに分けられます。
「介護の支援を受けるサービス」としては、居宅介護(ホームヘルプ)や短期入所(ショートステイ)など、「訓練などの支援を受けるサービス」としては、自立訓練や共同生活援助(グループホーム)などで構成されています。
「訓練などの支援を受けるサービス」に、就労のための訓練を提供するサービスがあり、そのサービスの一つに「就労継続支援」があります。
就労継続支援とは
就労継続支援とは、一般の企業で雇用されることが困難な障がい者に対して、就労の機会、就労のための知識や能力向上のための訓練を提供するサービスです。
このサービスを利用する障がい者は、就労の機会を提供する場所として都道府県知事等から指定を受けた「就労継続支援事業所」において就労します。
「就労継続支援事業所」は、主にその雇用形態によりA型事業所とB型事業所に分かれます。
A型事業所は、就労する障がい者と事業所が雇用契約を結びます。
事業所は、事業で得た利益から、就労する障害者へ給与を支払います。
給与は、地域の最低賃金以上で設定されます。
なので、一般企業とと同じような就労形態で働くことが可能です。
一方、B型事業所は、雇用契約は結びません。
給与の代わりに作業費用として工賃を支払う。
なお、各事業所の平均賃金は、A型事業所が76,887円、B型事業所が16,118円です。
出典:「平成30年度の実績、平成30年度工賃(賃金)の実績について」(厚生労働省)
対象者
A型事業所では、事業所と雇用契約を結び、一般企業と近い形で就労するため、ある程度の時間の就労が可能な能力や体力等を備えている必要があります。
具体的には、特別支援学校を卒業して就職活動をしたが企業等の雇用に結びつかなかった人や、以前に企業等で就労経験があり現在は就労していない人などが対象です。
B型事業所は、短時間の就労などが可能なので、企業等やA型事業所など雇用契約を結ぶ就労が難しい場合でも就労の機会を得ることができます。
具体的には、以前に企業等で就労経験があるが、現在は年齢や体力の面で雇用されるのが困難となった人、障害基礎年金1級受給者など、これらに該当しないが、就労面に係る課題などの把握が行われている人などが対象です。
まとめ
・障害者総合支援法という法律に基づいて就労系のサービスが定められている
・その中に就労継続支援サービスが含まれる
・A型事業所とB型事業所の二つのタイプに分かれる
・大きな違いは、障がい者と事業所が雇用契約を結ぶのかどうか
・結ぶのはA型事業所。結ばないのはB型事業所。
・A型事業所では雇用契約に基づいて最低賃金以上の給与が支払われる
・B型事業所では工賃が支払われる